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神はいますか

MIYADSC_3425-3_TP_V エッセイ
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神谷光一
神谷光一

前回の「絶対に、死なないというお話。」と関連した独立したエッセイです。
季刊コールサック 2018年12月96号に掲載(一部修正)

「見ました?NHK」 

見ましたよ!NHKスペシャル 東日本大震災 『亡き人との再会~被災地三度目の夏に』」

《放送日、2013年8月23日(金)》死者・行方不明者1万8千432人。(現在でもユーチューブで見られます)

「感動しましたね!」

「NHKもやりますね!」

「この番組は、東日本大震災の以後に、亡くなった多くの人々が、家族と再会をしているという出来事、その中の、不思議な4つのケースを、本人の体験と映像で伝えている、画期的な番組です」

その中の二つのお話を簡単に紹介致します。

ひとつは、『遠藤由理さんのお話

「幼稚園にいっていた3歳の息子を津波で亡くします。その3か月後に、仏壇の前に、にこにこと笑っている康ちゃんを見かけるようになります。みんなで、お食事をしているときに、『康(こう)ちゃんさびしいよ、こっちで一緒に食べようよ』というと、康ちゃんが大好きなアンパンマンの車のおもちゃのスイッチが勝手に入って、「出発進行!」と音が鳴りだしました。たとえ姿が見えなくても、いつも、そばにいてくれているんだ!私も笑わなきゃだめだ、そう思えるようになりました」

もうひとつは、『川村祐也さんのお話

「彼は、盛岡に出張中に、津波で、家族全員を失いました。

彼がある日、夜中に寝ているときに肩を叩かれた気がして起きてみると、右側に不思議な女の子と手をつないだ二人の息子たちが立っていて、しかも、赤ちゃんだった二人は成長しており、嬉しそうに、にこにこ笑って『パパ、大丈夫だからね』と行って去っていきました。たとえ姿が見えなくても、存在を感じるようになり、一緒に子供たちも感じているんだと思うようになりました」

・・・・・

「確かに、このNHKのテレビ映像を見た後に感じるのは、やはり、死後の世界はあるのではないかと、魂は永遠に生きつづけているのかもしれないと・・・」

あの世は、私たちが、今まで、小さい頃から頭に、刷り込まれてきた、お化け、幽霊のおどろおどろしい恐怖の世界ではなくて、

実際の世界は、真逆の世界、すばらしく美しいこころ(魂)の世界ではないのかと?

この番組では、あの世から現れる霊たちが、子供も、大人も、みんな、みんな、生き生きとしている決して死を嘆き悲しんでいない、むしろ『笑顔』で、ほほえみかけてくる。

そして、それから、1週間後、私は、この人生喫茶「REBORN(再生)」にまた立ち寄りました。

この喫茶店ですが、金曜日だけは、地元の大学のサークルで「倫理・道徳研究会」の学生たちが、部室代わりに使っており、その他は、若いサラリーマンがほとんど、人生の苦労話で盛り上がるという、フリートークの「人生談話室」であります。

「やはり、NHKに、苦情があったようですね」

「まあ、当然でしょ、すべての人が、あの世がある、魂があるとは思っていないし・・・でも、あの映像を見て、映画では決して涙を見せない妻が、やっぱりあの世があるんだ、魂があるんだと・・・」

そのとき、初対面と思われる、隣の男性が、突然、話しかけてきました。

ワリコミありです。他の喫茶店ではありえませんが、ここでは、たまにあります。

「黄輝さんですか?」

話しかけて来たその30代と思しき男性は、なんと、私のことを知っているようでした。

「ええ、そうですが」

「あなたの本を読みたいと思っているのですが」

「そうですか、ありがとうございます」

「テーマが、神ですよね」

「一応『出会い』がテーマですが、神様や、宗教や、色々なテーマが含まれています」

「その神についてですが、いつも疑問に思っていることがあるんですが、質問していいですか」

「どうぞ、どうぞ、でも、私に、質問に答えられるような知識があるかどうか分かりませんが・・・ここでは、思い思いのテーマを持ち寄り、考えを問いかけ、ざっくばらんに話し合い、共有し合い、すこしでも学べたらいいなという人生喫茶店ですから」

「間違っているのかも知れません、とんでもない質問かもしれませんが・・・」

「正しいか、間違っているかは誰も分からないと思います。もちろん、テーマにもよりますが・・・」

・・・・・

「黄輝さん、あのNHKの『亡き人の再会』ご覧になりましたか?」

「見ました、見ました!」

「今回の東日本大地震ですが、二万人が亡くなっております。確かに、千年の一度の大災害ですが、その自然をコントロールしているのは創造主、全知全能のはずの神。

その神が、一瞬にして、3才の幼子から、結婚式直前のカップルから、99才の老人から、どう見ても無差別にしかみえない、『死』をもたらす。

神というのは、まさに冷たい、何もしない傍観者なのか。

運よく生き延びた人も、愛する人を失って心のなかで「なぜ?」と思ったと思います。なぜ自分だけが助かったのか、なぜ、純粋で、かわいい幼子が、死ななければならないのか、その理由がまったく分からない。

口に出して言いたくはないが、まさに私と同じように「神も仏もない」と思った人も大勢いたと思います。

私は、以前から神はいないと思っています。神は、人間が作り出した「願望」「希望」、まったくの実態のない人間の思念が作り出したものだと思っています。

神は、私には、何もしない、ただじっとしているだけの冷たい「傍観者」にしか見えません。万が一、人間をつくったもの、そして、この全宇宙をつくったのが、神だとしても、神は、すべての人間の期待には答えらえない。それは、もともとそういう人間の願望にこたえてくれる神など、この世には存在しないということだと思いました。

私には、9才離れたかわいい妹がいました。

私たちは二人兄妹で、母は、妹が3歳の時、がんで亡くなりました。そして、それから、7年後、父が交通事故で亡くなりました。その時、私が18才、高校3年、妹が小学校3年、早くも兄妹二人だけになってしまいました。

すぐ、就職できた私は、国からの助成金をもらい、親代わりとして妹を育てました。

妹は、とにかく明るく私にとっては唯一のかけがいのない妹です。

妹は、私と違って優秀でした、国立大学に受かりました。

会うと、いつもしょうもないダジャレを言います、おかしくないが、面白そうに言う妹がおかしくて、笑いました。

「親がなくても子は育つ」です。とにかく、明るいのが妹の取り柄です。大学を卒業して出版社に就職しました。2年目の時、24才の時、母と同じ、子宮がんになりました。末期でした。

亡くなる直前、ベッドで最後に私に言った言葉が忘れられません。

「お兄さん、ごめんなさい。私は神様に見放されたみたい」と、笑って言いました。

短い一生でした。まだ、結婚もしておりません、将来の夢もいっぱいあったことでしょう。

神様は、本当にいるのでしょうか、妹になにか問題があったのでしょうか、妹がなにか悪いことをしたのでしょうか。

私には、さっぱり分かりません。

神さまに、直接、聞いてみたいです。

・・・・・

「ううう、あまりにも重すぎます、究極のテーマですね

・・・・・

あなたがおっしゃっていることは、あなたが今まさに感じている、『心の真実』だと思います。

ただし、では、私も、まったく同じ考えかというと、かなり違っています。

私は、NHKの映像を見て、語っている方々のお話を聞いて、決して、錯覚や思い込みの世界ではない、真実の語りだと受け取りました。

つまり、亡くなった、あなたの妹さんも、元気にあの世で生きているのではないかと。決して、悲しみに暮れて、毎日、涙を流しているわけではないと思います。

まあ、これ以上お話をすると、大論争になりそうですから。このくらいにしておきます。 お話ありがとうございました。

この世は、本当に分からない事ばかりです。

でも、私は、人生には続きがあると考えております。そうでなくては、あなたのおっしゃる通り、あまりにも理不尽です。あまりに不公平すぎます。私は、魂は不滅だと考えております。永遠の生命です。リベンジのある人生です。

いつか必ず、すべての人が、この「宇宙の真実」を知る時が来ると、思っています。

このお話の続きは『魂の不滅・死後の存続』についてはこのサイトの小説『守護霊の涙』をご覧ください。

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