ヘッケン・Rは、1960年代のハリウッドの大スターだった。一時期、不動産で大儲けし3千億円を超える大資産を築いた人物である。
そのヘッケンも、晩年はやりたい放題のツケが回って、酒とドラックに溺れ1998年、62才の短い生涯を終えた
彼は、死亡後、約6か月間、十分に静養して、記憶もほとんど全部よみがえっていた。彼の『守護霊』である「ハイネマン」は、今度こその思いで5度目の接触を試みた。
「何度も、何度も、頭を下げてお願いしてきたつもりです。過去の記憶も、もう完璧に蘇っているはずです。それなのに、あなたは私を罵倒して逃げ回っているばかりです。今日こそ、あなたの生涯、62年の『人生の真実』をあなたの想いあなたのお考えをお話ししてください。お願いします」
「いつも、いつも、俺に付きまとって、もう、いい加減にしてくださいよ。守護霊だか、何だか知らないけど、私の人生を、どうしても、どうしても、聞きたいというなら、それなら話しますよ」
「まっ、確かに、62歳の人生は短かったかもしれないが、最高の人生、大満足の人生、実に楽しかったよ。金はあり余る程あって使い放題、まあ、やりたい放題の人生だったね」
「遡って、ご幼少の頃から、振り返ってお話してもらえませんか」
「あんた、うるさいね。守護霊さん。本当は、私の人生はすべて、全部知っているんじゃないの、守護霊はすべてを知っているって聞いたことがあるよ、そうなんだろ・・・まあ、いいや・・・
あああ・・・ここが、『あの世』だなんて、もう、本当にびっくりだよ。
『死んだらおしまい』『死んだら、すべてが、ジ・エンド』『続きはない』と思っていたから・・・無神論者だし、自慢じゃないが、信仰心は限りなくゼロだったからね。1か月間は自分が死んだのが信じられなくて完全に錯乱状態だったから、でもやっと落ち着いたよ、この世界にも慣れてきたよ・・・なにしろ、もうほとんど忘れていた細かい記憶まで鮮明に思い出せるんだから、・・・そうそう、小さい頃の話だったね」
「知っていると思うけど、父はドイツ系アメリカ人で、俺が生まれた時は、すでに、フロリダ一の億万長者だった。アメリカも成長期で時代も良かったけど。
親父は最高のケチだった、そうじゃなければ一代であれだけの財産は築けないよ。
兄弟は妹がひとりいた。
転機は俺が18才の時だった、厳しい親父には、もういい加減うんざりしていたんだ、たまたま友達が勝手に出したオーデションでみごと合格して、信じられるかい、最初で、主役だぜ! 190センチ、自分でもほれぼれする体躯と美形だったからね、顔は母親ゆずり、親父に似たら最悪だった。当時は、大富豪の親父が根回ししたって、マスコミが騒いでいたが、あれは大ウソだよ。俺の実力さ、まあ俳優としての天賦の才能だ、その証拠にその後は『サントロペ真夏の休日』を皮切りに5連続の主役。ハリウッドの申し子とか、フロリダの貴公子なんて言われたよ。映画のブロマイドも、月間2千万枚、今もその記録は破られていないはずだ。
だが、いいことばかりじゃなかった、俺の人生の最初の大失敗は、32才の時、あのエリザベスと結婚したこと。スタイル抜群の容姿とあの妖艶な色気に惑わされて、結婚したんだが、とんでもない女だったよ、性格は超わがままで最悪だった。まあこっちも、わがままだからケンカが絶えなくて、結局、警察沙汰になる大ゲンカをして、5年で離婚。よくもったと思うよ。だが、俺はこの女には、びた一文やりたくないと思って、親父の紹介で最強の弁護団を組んだんだ、彼女には、不貞をでっちあげて、2才の一人息子(サムソン)の養育費のみで、特別な慰謝料はゼロ。弁護費費用の方がはるかに莫大だった。・・・息子は彼女が引き取ったよ」
「その息子さんは、その後、どうなりましたか?」
「あの女に、育てられたんじゃ、まともに育つわけないよ。27才で自殺したよ。おいおい、守護霊さんよ、勘弁してよ、俺のせいじゃないよ!全部あいつのせいだ、自業自得!」
こちらは、その後も仕事は順調でスター街道まっしぐらさ。
ところが、42才の時、運命が変わった。ワンマン監督で有名なジャックと出会ったんだ。あいつとは絶対に一緒に仕事はやりたくなかったが、俺も魔がさしていた。やつは、傲慢で見下すような命令口調で撮影を何度も撮り直す、結局、大ゲンカして主役を途中降板。莫大な違約金を請求してきた。最強の弁護団のおかげで勝ったものの、その後は、すっかり仕事も来なくなってしまった。すべて、あいつのせいだよ」
「でも、正直に言うと、もう大スターには飽き飽きしてたんだ。これからは、誰からも文句を言われずに自由奔放に生きていけると思った。俺は、実は親譲りの博才(ばくさい)があった、ビバリーヒルズ他、10か所、投資していた不動産が全部値上がりして、確かに時代も良かったかもしれないが、その時は、親父を超えたと思ったよ。3千億にはなっていたからね。
その後、二度結婚し、二度離婚したよ。子供も、5人できた。
えっ、5人の子供たちは、どうなったかって。
知らないね。関心ないね。
ところが、不動産の不正が発覚して膨大な罰金を取られるわ、肝心の不動産も大崩落したり、波乱万丈だった。まあ、一番の原因は、俺の放蕩三昧の浪費のせいだ、大金が潮が引くようにみるみるなくなっていった。
でも、神は私を見放さなかった、親父が、突然、心筋梗塞で75歳で亡くなり、望外の遺産が転がり込んで来たんだ。親父は、かつての大富豪の面影はまったくなくなっていたけど、それでも、50億はあったからね、親父には感謝しないとね。
問題は妹だ。
結局、もめに、もめた遺産相続で、40億入って、また、復活よ。
酒と女とバラの日々。
俺は、『死んだらおしまい』だと思っていたから、お金を残すつもりは、まったくなかった。
最後のベッドも、一日50万の専属看護婦付きの、最高レベルさ、元妻も子供たちも、誰ひとり見舞いにこなかったけれど。まあ、それは仕方ないよ。
まあ、ハリウッドに、我が栄光の歴史を刻んで、大金を思う存分使い、大いに楽しんで充実した人生だったよ。大満足の人生だよ」
「あれれ、守護霊さん、どうしちゃったの・・・」
「うつむいちゃって・・・」
・・・・・
「えええ、泣いてんの?」
守護霊『ハイネマン』の涙の告白
彼には、公正(カルマの清算)の大きなチャンスがありました。
彼の息子、サムソンです。15才の頃から心の病となってしまい、27才の時には、かなり重症でした、エリザベスは、サムソンが大きな心配の種でした。
父は、偉大なるハリウッドスター!
逆に、それが息子には大きな精神的な重荷になっていました。
小さい頃からひどくいじめられていました。父は偉大なる映画スター。しかし、自分は一度も会ったことがない。いったい自分はなんなんだ。父にとって自分は何なんだ。なんで会いに来てくれないんだ。なんで助けに来てくれないんだ。父に会いたい、その思いは子供の頃からどんどんつのるばかり。彼は、成人になってからを、仕事が長続きしない、だんだん自暴自棄になって行きました。
見かねた、エリザベスは、意を決して、元夫、ヘッケンに電話をしました。
お願いだから、息子に会ってほしいと。現在の息子の状況を詳しく話し、息子の父に対する並々ならぬ思いを伝えました。
彼は、言い放ちました、「今は、撮影中だ、ラスベガスにいて会えない」。終わったら電話すると。しかし、いつまでたっても電話はない。息子の精神状況は極めて深刻、
なんとしても、会わせてやりたい。エリザベスは必死の思いで、神に何度もお願いしました。その思いは、エリザベスの守護霊、リッチマンに伝わりました。そして、リッチマンから、私に、インテレ(霊的通信)してきました。事は緊急を要する。息子サムソンの守護霊、リッチマン、そして私の三者会談が開かれました。
そして、最大のキーパーソン、まさにヘッケンの守護霊、私、『ハイネマン』が、重大なる責務を負うことになりました。私は、24時間インテレし続けました。彼が、気付くように。そして、彼は反応しました、息子に電話を掛けたのです。
なんと、三日後に、エリザベスの家で会おうと。
ヘッケンは、ローレスロイスを自ら運転しました。運悪くその日は専属運転手が急病になり運転せざるをえなかった。車で約3時間。
そして、行く途中、事故りました。これは、私にも分からない運命です。私は、激しく動転しました。私は、すぐに、強烈なインテレを送りました。ケガはないのだから車は乗り捨ててタクシーに乗れと、今からなら十二分に間に合う。
が、しかし、彼は1億円のローレスロイスが気になり、相手とけんかをして、
「最悪だ!今日は中止だ!」と叫びました。
あああああ・・・・・
彼は、なんと電話もせずに、近くのホテルのロビーで、愚痴をこばしながら、大酒を喰らい泥酔しました、泥酔状態ではインテレは全く伝わりません。そのままそのホテルに泊まりました。
早朝、彼は、はっとして、正気に戻り電話を入れました。
しかし、サムソンは、自殺していました。
12時間待ったあげくに、失意の自殺。
私は、涙を流しました。
この結末だけは絶対に回避したかった。自分の不甲斐なさ、力不足を痛感しました。
その後の彼の人生も反省なき、やりたい放題の人生でした。
もちろん、彼の息子もこの世界で生きています。魂は不滅です。
ここで新たなる人生を歩んでいます。元気でやっていますかと問われれば、残念ながらハイとは言えません。決して、無間地獄にいるわけではありません。なんと、もう長い年月が経っているにもかかわらず、父、ヘッケンを許していません。過去を大きく引きずっています。多くの霊医が彼のこころ(魂)を癒すために治療にあたっておりますが、彼のこころの闇は深く、激しく過去に執着しております。この世界の一番の下層部で、うごめいております。
死んで間もない彼は、このことを全く知りません。彼には、背負っているカルマ、解消すべきカルマがたくさんあります。まず、真実を知ることです、反省すること。これがないうちは先には進めません。この世界は、魂の進化・向上の世界です。私は、彼の最大の理解者です。彼の守り神です。彼を導く人です。彼を見捨てることは絶対にありません。彼と一緒に重荷を背負う覚悟です。
告白Ⅱ
この世界には、肉体がありません。魂は、もう鳥かごから放たれた鳥のように、完全に開放されています。さなぎが美しい蝶になって大空を飛び回っています。本当の自由の世界です。
この世界こそが、真実の世界、実在です。永遠に続く実在です。
死は、終焉ではありません。悲しむべきことではありません。皆さんは、赤ちゃんが生まれると喜びます。しかし、私たちの世界ではお別れです。同じように、地上の死は永遠のお別れ、悲しみですが、こちらの世界では、帰って来た霊を「頑張ったね」と言って多くの霊たちが喜んでお迎えしています。これが、真実です。
死は、肉体から解放される新たなる旅立ちです。第二の復活です。
魂は、永遠です。
彼は、あの世はないと確信していました。しかし、現実にはあった。彼は、大きな混乱の中にいます。
彼は、この世界がどういう世界なのか、まだ十分に理解していません。
この世界には、肉体がありません。「こころ」がすべてです。「魂」がすべてです。魂こそが実在です。大事にしていた財産、地位、名誉などは、ここでは全く役に立ちません。しかし、肉体という重い鎧をつけている限り、そのことを理解できないのは、私どもも十分理解しています。
私が、ヘッケンの守護霊になったのは彼が生まれる直前です。自分で願い出ました。
実は、私は、彼の曽祖父です。現世で、一緒に過ごしたことはありません。
守護霊の資格は、彼が生まれる前のご先祖、縁故者、友人、彼のことを全く知らない人、色々です。
私は、彼より、あの世で多く過ごしております。彼よりほんの少し学んでおります。
彼は、生まれるとき、重大なる使命(カルマの清算、人生の目的)をもって生まれてきました。しかし、それを一度も気付くことがありませんでした。
守護霊は、文字通り、彼を守る人、彼を導く人、彼を指導する人、彼の最大の良き理解者であります。私は、彼の人生のすべてを知っております。
目的は、彼が、自分の人生を、その選びし『ステージ』で、いかに一生懸命に生きたか、そして、いかに『学んだか』に尽きます。人の人生の歩むべき枠組みは大筋で決まっております。問題は、その大筋の中で何を考え何をするかです。大切なのは日常です。日常の行いです。すべては実践です。そしてその中身です。
しかし、残念ながら、私は、彼の人生に対して直接手を下すことはできません。彼のために、人生を肩代わりすることは許されません。すべては、彼からのインスピレーションがくれば、答え、インスピレーションで返す。こちから、どんなにインスピレーションを送っても、彼に受け入れるこころがないと、時としてまったく無駄に終わります。すべて、彼の霊性のレベルいかんです。彼が、心の扉を開かない限り、私たちは、何もすることはできません。ただ、黙って見守るだけです。しかし、どんなに悪行を繰り返しても、彼を見放すことは絶対にありません。実は、他にも多くの霊が彼の背後霊として、常に彼に手助けしております。すべてはそれを受け入れる心です。
この世界は、すべての人が神の無限の愛でつながっております。一人として孤立している人はいません。彼の人生の最大の目的は、こころ(魂)の進化、向上です。現世的にいいかえれば、「人のために尽くす」、「利他のこころ」です、人生は、楽しければいい、それだけではダメです。人生は快楽の追求ではありません。無償の行為、見返りを求めない、それが本当の愛です。この世はすべて相互扶助の世界です。困っている人がいれば進んで手を差し伸べる。すべての霊が強い愛の糸(絆)で、つながっております。愛がすべてです。そこには争いも戦争もありません。この世界は、本当にすばらしい世界です。
そして、私は、彼の為に、どれだけのことをしてあげられたかと。
彼は、強がっていますが、いいこともしました。まだ、可能性があります。しかし、まいた種は刈り取らなければなりません。神の摂理、神の公正は完璧です。犯した罪が、見逃されることはありません。これから彼は「自省の世界」に入ります。すべては、彼自身のこころです。あきらめてはいけません、とどまってはいけません、10年かかっても、100年かかっても、私は、彼を守り続けます。私は、彼の最大のソウルメイトです。
そして、彼自身です。
ハイネマンから、みなさまへ、「あなたとはなにか」
もし、人生が、束の間の短い一生で終わるなら、こんな理不尽なことはありません。
3歳で亡くなる幼児、19歳で難病で亡くなる方、働き盛りで突然の交通事故で亡くなる方、この人たちは、これで、人生のすべてが終わるのでしょうか・・・。
人生には続きがあります。死は、物資である肉体から解放される喜ぶべきことなのです。
決して、永遠の虚無の世界に行く訳ではありません。自然霊の中に吸収されるわけではありません。
信じられないかもしれませんが、死後、あなた自身が、あの世で、現世で生きたすべての体験をたずさえて、あなたの個別「意識」が復活します。あなたの意識が、全人格が、完璧にそっくりそのまま「あの世」で蘇るのです。そうでなければ、あなたは、あなたではなくなります。あなたが、「意識」の発信元・受信元と確信している「脳」は、単なる「物質の入れ物」にすぎません。
現世での『理不尽さ』は、何度も生まれ変わることにより、永遠の命の営みの中で、その理不尽により傾いた『天秤棒』は、いくしかその均衡が保たれるようになっていきます。
人生とは、こころの修行です。その経験から得る『魂の学び』です。
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