告白~よみがえれ魂~(平成30年9月15日出版)に掲載した「死ぬ死ぬ詐欺師」と「最終章 告白(本人)」は一連の話であり、私の末期脳梗塞についてのノンフィクション(告白)です。今回、全文掲載いたします。
死ぬ死ぬ詐欺師
日曜日の朝、ウトウトしていると、どこからともなく、警察の宣伝カーの音が聞こえてきました。
「ご町内のみなさん、ご注意ください。最近、高齢者対象に、「死ぬ死ぬ詐欺」が横行しております。十分ご注意ください」と。
妻の京子が言った、
「本当に怖い世の中になったわね。
でも『死ぬ死ぬ詐欺』って、どんな詐欺なのかしら?」
・・・・・
「分かったわ、危篤だと言って、医療費を取ろうといんじゃないの。
きっと、そうよ」(京子)
『お母さん、俺だよ、俺、もうダメなんだ。脳梗塞で、今入院しているんだ。今、病院なんだ、死にそうなんだ。このまま放っておいたら死んじゃう、緊急手術が必要なんだ!!すぐ100万円振り込んでくれ!』
京子が、『春眠暁を覚えず』の言葉のように、うとうとしていた俺に、壊れたおしゃべり人形のようにかってに、つぶやいていた。
その時だった、
マンションのチャイムが、「ピンポン、ピンポン」となりました。
京子が出た。
「ご主人いますか」
うなずくや否や、ずかずかと、たくさんの警察官が入ってきた。
私は、叩き起こされた。
逮捕状を目の前に突き付けられました。
「死ぬ死ぬ詐欺罪で逮捕します」と、
京子が叫んだ!
「どういうことですか、さっぱり分かりません」と。
警察官が言った。
「ご主人、思い当たることがあるはずです」
・・・・・
私は、うなだれて、うなずいた。
「ウソ~、意味分かんない!」(京子)
泣きながら、私にしがみついた。
私を、にらみながら、警察官が言った。
「実は、唯一、逮捕を免れる方法があります」と。
京子は、驚いた。目を金魚鉢のように丸くした。
警察官は、はっきりと、大きな声で私に言った。
「手術をしてください!」
それを聞いた、京子は、私を力いっぱい抱きしめながら言った。
「お願いですから、手術をしてください」と、
私の周りをたくさんの警察官が取り囲んだ。
一番、りっぱなそうな警察官が言った。
「これが最後です、手術をしますか」
私は、言った。
「しません!」
手錠がかけられた。
そして、彼は、大きな声で叫んだ!
「8時、ジャスト。逮捕しました!」 同時に、目覚ましが、けたたましく鳴った。
最終章 告白(本人)
救急車のけたたましいサイレンが、聞こえます。まだ、死んでいません。今ここで、死ぬわけには絶対にいきません、なぜなら、私は、『ゾンビ』です、『医学会の奇跡』です。
今こそ、それを証明しなくてはなりません。
でも偉そうなことを言っても、誰も相手をしてくれません、誰も信じてはくれません、仕方ありません。ああ、それと、もう一つ重大の事を言い忘れていました。私は超能力者です、その能力は自分でも驚くほどです、まさに脅威です。でも、誰も信じてもらえません。誰も相手にされません、人に言って馬鹿にされたことはよくあります。テレビに出たことはありません。
だが、妻、京子は、私のすべてを知っております、私の最大の理解者です。私が単なる妄想家か、夢想家か、虚言者か、その話は真実なのか、真っ赤な嘘っぱちか、京子はすべてを知っています。まさに生き証人です。生半可に、無為に、35年間いっしょに生活をしてきた訳ではありません。
この救急車は、私を乗せて、今、けたたましくウーウーと最大限のサイレンを流しながら、横浜駅の大戸屋(お食事処)から川崎のK病院に向かって、赤信号を突破しながら激走しています。私の意識レベルは、10の内、2です。1は昏睡状態、0は死亡です。隊員の声が微かに聞こえてきました、「名前を言ってください」と、マニュアル通りです。
でも、勘弁してもらいたいです、こちらは、今、超、具合が悪いんです。耳元で大きな声で叫ばないでください、私は渾身の思いで首から胸にぶら下がっている『伝家の宝刀』を右手で指し示めした。そこには「氏名、生年月日、血液型、既往症(脳梗塞)、服用薬(クロピドグレル錠75mg他)、そして緊急連絡先が書かれています。身元確認のラベルです。私は、予知していたのです。この場面が近いうち来るだろうことを。
「奥さんですか、今、救急車から電話しています、ご主人が倒れました。すぐにK病院に行けますか」救急車が病院に到着した時、京子さんはすでに来ていました。京子さん、ありがとう、本当に申し訳ございません。また、出戻ってしまいました。
実は、これが、今年2度目の脳梗塞発生(平成28年6月1日)です。通算で3回目です。
しかも、私は、4月この病院を退院したばかりです。まったく、情けないお話です。ああ、また、あのA先生(主治医)に会うのか、と思いました。絶対に会いたくなかった。でも、これも自分の宿命です。またA先生と対決(他に言葉が見当たりません)しないといけません。
しかし、なんとこの日(水曜日)は、先生はお休みで、若いU先生でした。
先生は、MRI・MRA(脳の磁気共鳴断層撮影・血管撮影)の検査結果を妻に報告したいと。
私は横になって寝ている場合ではありません。まさに本人の出番です、ゾンビのように起きあがりました。私もぜひ聞きたいと、そして、先生は、私たち二人(妻と私)を前にして開口一番言いました。
「申し訳ないですけれど、脳の血管がボロボロです。私の力では手術はできません」と。
完全に見放されました。
この言葉は、私の妻に対する再度の死亡宣告です。「この人は、間違いなくもう死んでいます。申し訳ありませんが、手の施しようがありません」と。きっと、涙がとめどもなく流れたことでしょう。でも、私は妻には、本当に、本当に、申し訳ありませんが、悲しみは微塵もありません。むしろ、これは涙なくしては語れない最高の物語だと思いました。胸がわくわくして来ました。すばらしい小説が書けそうだ。そして、湧きあがる運命に逆らうように、ずばり、『まだまだ死にそうもない』と直感しました。
ただし、手術をしないことが大前提です。私の人生の最大の危機です、正念場です。私の死生観と医師の死生観の激突!!
(『死』は『神様がくれる、最高のプレゼント』と信じて疑わない狂ったスピリチュアリスト・自称超能力者、地下組織のカルト野郎vs現代の最高峰医学の総帥、脳外科マスター)です。
誰が見ても、勝者は、外科医マスターで決まりです。
翌日、京子は早朝、A先生(主治医)に会いに行きました。何とか夫を助けてくださいと涙ながらに懇願しました。先生は言いました、
「助けたくても助けようがないじゃないですか、ご主人は、カテーテル検査はしません、手術はしないといってるんですよ、これでどうして助けられるんですか」と、
妻が、私の部屋に、吹っ飛んできました。
「お願いですから、手術をしてください」と、・・・
妻には、この言葉は何十回も言われております。愛する夫に対して「死んでもらいたくない」という切なる思い「可能性があるならお願いですから手術をしてください」当然だと思います。
遡ること平成28年4月
遡(さかのぼ)ること、1カ月前、平成28年4月18日、私は倒れて、この病院に緊急に運ばれて、脳梗塞と診断されました。その時の主治医がA先生です。MRI・MRAの脳の二つの映像を見て、先生は、脳内の大きな3本の動脈すべてが詰まっていて危険な状態にあります。よって、まず左脳の血管の手術(予防手術)をしましょうと言いました。
先生は、私の病室(個室)に来ました。カテーテル検査をするので同意書にサインをもらいたいと、
「なんの、サインですか?」
「脳の血管バイパス手術をします(ああ、恐ろしい開頭手術だ!)
当病院では、この手術は出来ないので、S大学病院に搬送しそこで手術をします。そのために、当病院でもできる、手術前の検査としてカテーテル検査をします」と。
理路整然としています、この説明には何の問題点もありません。
私は、即答しました。
「しません!」
「あの、検査ですよ?」
「何のための検査ですか」
「手術をするので、脳の状態を詳しく調べるためです、必ず必要な検査です」
恐ろしい手術、ありえない手術、私の未来予想図にはまったく入っておりません。絶対に承諾してはだめです。天からの最大級の危険信号がビンビン、脳髄に伝わってきました。
・・・・・
「しません!するなら、T病院でします!」
大きな声で、はっきりと伝えました。
「えっ、」
先生は、予想外のとんでもない返事に、呆然(あぜん)としたことでしょう。
医師にはプライドというものがある、この男は常識知らずのとんでもない男だ。この男の確信犯のような凶悪犯のような鋭い眼光に、
彼はたじろいだのかも知れない。
これ以上の説得は、もう無駄だと思ったのでしょうか・・・・・
「分かりました」先生は去っていきました。
私は、この5・6分のやり取りの中で、先生の人間性、人生観、死生観、今までどんな生き方をしてきたのか、趣味趣向、ものの見方、私との相性、二人(医師と患者)の間に待ち受けているだろう運命、この物語の生死の結末、人間関係の決着、それらを瞬時に読み取ります。超能力です。
これなくして、人生の数々の苦難を乗り越えることは困難です。インスピレーションです、インテレーション(相手の深層心理に深く入り込んで霊的会話をすること)です。心理学でいう奥技『他心通』『人のこころを読む』です。『占い師 銀子』の世界です。
ただし、それは相手に対する尊敬、無償の愛なくしてはありえません。一方的ではいけません、独善的では絶対にダメです。それでは、いい結果は訪れません。幸せな人生は訪れません。本当の真実が分かりません。
しかし、奥技でもなんでもありません。単なる、妄想家、アンポンタンです。大ウソつきの虚言野郎かもしれません。
「この局面での、私の回答は、『T病院でします』です」
*《 T病院は、2年前、彼女(親友Yさん)が脳腫瘍で目が見えなくなり、神の手で助かった、強烈なメッセージを受け取りました。万が一の時は、必ず思い出してね、T病院よ!》*
それ以外の言葉で、手術を回避する方法はありません。この局面を打破する唯一の言葉です。本能的に出た言葉です。手術は絶対にしてはいけません、すれば100%『死』です。言葉で説明するのは不可能です。
私は、頭脳のアスリートです。アスリートが左足を切断する、それは、もう、死んだ方がましです。片足のダンサーは、もう今まで通りには踊れません。ハネを折られた鳥は、もう大空を自由に飛び回れません。それは、とてもつらい悲しいことです。私の職業は囲碁です。趣味を通り越して、人生を賭けた戦いです。生きがいそのものです。囲碁は『頭脳明晰』であることが絶対的な条件です。今の実力は7段ですが上には上がいます。生半可の努力、生半可の能力では勝つことはできません。もはや、崇高なるレベルで戦っております。今、この瞬間、私の脳は必死で「死」と戦っております。頑張っています。どうにか持ちこたえております。今、開頭手術することは危険そのものです。余りにリスクが高すぎます。手術後の後遺症ははかり知れません。すでに、血管年齢は89才、もうボロボロです。糖尿病、高血圧、高脂血症、潰瘍性大腸炎(難病)等、病気の百科辞典・総合商社です。この状態で手術を決行するんですか、お願いですから私の脳には絶対に手を触れないでください!囲碁大会がひかえています、もう一度優勝したいです。金メダルが欲しいです。ここで、寝ている暇(ひま)はありません、くたばっている暇はありません。これは、内なる魂の叫びです。
しかし、あなたは、私ではありません。わたしはあんたではありません。この切なる思いを、ほんの短い時間の中で理解してもらうことは不可能です。それは、十分わかっています。仕方ないことです。理解してもらうには、生まれてからずっと、あなたとわたしが、同じ脳の中で、すべての人生を一心同体で歩むよりないです。
イン・ラケチ(古代マヤ人の崇高なるこころの挨拶)『私はもう一人のあなた』です。〈WE ARE ALL ONE〉です。今、この病院の「一瞬の時の中」では、それを望んでも無理です。不可能です。分かっています。
しかし、今、私に、人生最大の危険が迫っています。
4月24日(日曜日)、お昼の血圧は、なんと230-120でした。真実です。
あしたは、退院予定日です。すぐに血圧を下げる強い薬を飲みました。4時間後には、140-90に下がりました。一時的なものと判断されたのかもしれません。そして、なんと翌日4月25日の月曜日にめでたく?予定通り退院しました。つまり、私は、入院して8日目に、ありえない状態で退院したということです。私の脳の状態では、正常値を維持することは難しい。永遠の危篤状態にあると理解しました。
手術を拒否した以上は、もはや、申し訳ございませんが、他にはやりようがありませんと。
4月25日の退院から、約1か月と5日目の、6月1日。
今年、二回目の脳梗塞で、救急車で搬送。再度入院しました。
辛い悲しい再現フィルムです。
「お願いですから、主人を助けてください」
「助けようがないじゃないですか、ご主人は手術をしないといってるんですよ。これでどうして助けることができるんですか」
先生は、この後、すぐに、私の病室に来ました、最後の説得をするために、残された時間はもうあまりありません。外科医の最後の使命!私にとっての最後のチャンス?
私の目の前にA先生が立っていました。私は、心の中で挨拶をしました(申し訳ございません、また、再入院しました、出戻って来ました。すみません、よろしくお願いします)
先生はなぜかニコニコしています。私は、人生最後の決戦であることを悟り、こころを清め緊張感をもって対峙しました。
(手術をしましょう!)
(いいえ、しません!)
(大丈夫です、うまくいきます。安心して身をゆだねてください)
(ゆだねることはできません)
この会話は、現実には行われておりません。しかし、先生が何を言いたいのかは、痛いほど分かります。先生の言うことはごもっともです、おかしいことは何ひとつありません、尊敬しております。なぜなら、あなたこそ私の運命を変えてくれる、キーパーソンだからです、あなたなくして私の未来はないということが分かるからです。たとえ、手術をしなくても、です!あなたに会えたのは人生の必然です。
私は、渾身の心を込めて、先生にはっきりと言いました。
「私を助けてください、今回は治るまで、ゆっくりと静養させてください」と、
先生は、無言のまま笑みで返してきました。もう、この男は何を言っても言うことはきかない。
『だが、手術以外の方法で全力を尽くす』とインテレしてきました。1週間の24時間点滴とその後の強力な薬以外には良くする方法はありません。限界的、極限的な状況です。
実は、前回の入院の時、一つだけ先生にお願いをしていました。
ある意味、心苦しい身勝手なお願いです。セカンドオピニオンです。例のT病院の、私にとっての夢の中の神の手、H先生のところへ行かせてくださいと。紹介状を書いてくださいと。
先生の言葉は、意外でした、「いいですよ、先生は、僕の友人です」
えっ、そうなんだ。しかも、S大学病院の脳外科、私が手術をする予定だった、あの有名な神の手、M先生も、お友達。いったいどうなっているんだ。本当に申し訳ございません、手術はしませんが、みんな、みんな、目には見えない糸でつながっているソウルメイトなんだ。
5月17日、京子とともに、先生の紹介状と、MRI・MRAの画像(CD)をもって、H先生に会いました。
もちろん、手術をするためではありません。手術は100%ありえません。もっと『深い真実』を知りたい、ずばり現代医学の最高峰の見地から、いつまで生きられるのか(余命)、現在の病態の再確認、今後の予想される後遺症のこと。最終的、未来予想図。
先生は画像を見て言いました、A先生とまったく同じ見解でした。
次の3点です。
診断書(2016.5.17)
- ①左中大脳動脈 閉塞症
- ②右中大脳動脈 狭窄症
- ③椎骨脳底動脈 狭窄症
つまり、大きな3つの動脈がすべて、重篤。
特に、左脳、閉塞の部分の手術。まずこれをクリアしましょう。それについては、是非、一つ検査をさせてください、高額の検査ですが、まったく危険はありませんと。
その検査結果で『手術するかしないか』(開頭による脳の血管バイパス手術)を判断しましょうと。
その名前は、スペクト検査(脳の血流検査)です。スペクト検査は、放射線を出す薬(トレーサ)を静脈注射し、この放射線が脳の血流量に応じ行きわたっていく、その分布状況を見るということです。まんべんなく、隅々まで放射線が行き渡っていますかと)
〈今から10年前、55歳の時〉
実は、この検査は、平成18年4月、55歳。初めて、脳梗塞で倒れた時、横浜の根岸の「脳血管医療センター」で実施したことがあります。すなわち、自分自身が経験済みです。その時の検査結果は、『血流はあります、手術は不要です』と。
当時の部長先生曰く、「あなたの左脳は、一部、高速道路が寸断されています。しかし、一般道路がうまく作用して血流があります、あなたは大変ラッキーな方です」と、左脳のMRA映像は、あるべき血管がまったく見えていない、あたかも、左脳のすべての血管が消滅したかのように映っていません。素人目にもビックリの映像でした。しかし、血管が見えなくても血流はある。
すなわち、脳とは、大小、2万の血管が完璧なネットワークで助け合っている、高次元システム。私の左脳の血流はちゃんとある、大丈夫だ。妻共々、大喜びしました。そのおかげか、肉体的な後遺症はまったくありませんでした。が、しかし、言語障害がありました。あの大好きなカラオケが歌えない、これは最悪だ。もう、大ショック!外来で、1か月まじめに『言語リハビリ』に通いました。おかげさまで、6か月後には歌えるようになりました。感謝です!
しかし、この10年前の、55歳の時の経験は、私にとって『神からの警告』だと思いました。カルマの法則。すべての原因はあなたにあると。人のせいには絶対できない。食生活、運動、ストレス、一日の行動、人生をもう一度見直す、絶好機だと思いました。
私は、仕事(がん保険会社の代理店主・実質的には営業マン)を半分にして、妻に任せていた母の介護に参加しました。当たり前のこと当たり前にしたということです。本当に申し訳なかったと、どれだけ妻に負担をかけてきたか。仕事、仕事、仕事最優先を理由にやりたい放題だったと思います。ダイヤモンドゆう子の父親と変わりません。離婚されなかったのは妻の寛容です。
その時の担当の部長先生は、私に、最後にこう告げました、「この脳梗塞は10年以内の再発率が高いです。あなたの脳は、危険性を持っています。高血圧、高脂血症、高いリスクを持っています。今後十分に気を付けてください」と。
あれほど、分かっていたはずなのに、あんなに気を付けていたのに、時が忘却させ、5年前には、地元の病院で、あなたは糖尿病だと宣告され、「もう、面倒見切れません」と言われてしまいました。はっきり言って、生まれてから一度もたばこを吸ったことはありません、お酒は、現在はまったくのゼロ。以前も、たしなむ程度、もともと弱いのでたいして飲めません。あの超、まじめな森田君です。体重は、現在53キロ、平均より4キロ低いです、それなのに、糖尿病ですか?WHY(なぜ)?
好きな言葉は、「己を律する」です。「清く・正しく・美しく」です。でも、偉そうなことを言ってもだめです。ダメ人間であることを数値が証明しています。神をごまかすことはできません。
人生はそんなに甘いものではありません。
「神」は容赦なく、試練を与えます。
あなたが、まじめでも、美しい心の持ち主でも、世のため人のためにどんなに尽くしていようが、かわいい純粋な3才の女の子でも、神は、容赦しません。
ただ、私が、無知なだけです。全宇宙のシステムを知らないだけです。『神の摂理』を知らないだけです。
毎回も生まれ変わって、何万回の人生を体験した時、その神の、完璧な『神の摂理』のほんの一部を知るだけです。
まさに、『100万回生きたねこ』(佐野洋子著)です。
神は、脳梗塞、がん、心筋梗塞、災難、事故、『りこん、とうさん、ムショぐらし』、なんでもかんでも、一見すると無差別に難問を課してきます。あなたは、これをどう乗り越えますかと。この試練から、何を学びますかと。未来永劫の課題です。
終わりなき試練です。しかし、それを克服した時、私にとって、おおいなる喜び、おおいなる歓喜となります。崇高なるこころ(魂)のバージョンアップです。
〈平成28年5月 時点・65歳〉
平成28年、5月30日。T病院で、私にとっての神の手、H先生の元で『スペクト検査』の実施。
そして、6月14日、入院中のK病院で半日の外出許可をもらって、検査結果を聞きに行きました。
「どうか神さま、血流がありますように、手術をしなくてすみますように」、私と京子の最後の願いです。聖なる『最後の審判』です。
H先生の前に座りました。
パソコンの画像を開きました。
映し出された脳の画像が、ピカピカと強い赤い放射線を放っています。
先生は言いました。
「こりゃ、ダメだ、すぐ手術だ!」
ううう、
そうですか・・・
脳の左側がピカピカしていません。
あああ、血流が・・・
期待していた自分がいました。
妻は、それ以上にショックを受けていました。
・・・・・・・
「先生、もう少し、1カ月ぐらい考えさせてください」
この言葉が、この状況でのピッタリの言葉だと思いました。
「考える余裕はありません。今のあなたの脳は、緊急性のある危機的状況です。手術が必要です」
・・・・・
いや~困ったなあ。どうしよう、うまい返す言葉が見当たらない・・・
・・・・・
「先生、実は、私の父は、81才で亡くなりました。今、私は65歳です。もし、手術をしないとして、80歳まで、何事もなく生きられますか」
先生は、0.1秒で即答しました。
「ありえません!」
ああ、アホな質問をしました。だが、是非、しなければならない質問です。つまり、どんな名医が見ても、ひどい映像だということです。
先生は、A先生の紹介状の文面を確認するかのように見ていました。
長い沈黙が続きました。
「あなたは、手術をしたくないないそうですね。私は、あなたの脳について十分説明したつもりです。あとは、あなたの判断です。あなたの人生です。私はこれ以上は申し上げられません」
ううう、すばらしい!
感動的な言葉です。
そして、私は立ち上がりました。
そして、H先生に、こころのなかで「ありがとう」と言いました。深々と頭を下げました。
病院を京子と出ました。
太陽は、何事もなかったように、サンサンと降りそそいでいます。
多くのビルが今まで通り立ち並び。すがすがしい気持ちです。
いい喫茶店見つけたんだ。そこで休もうよ。
「今日のコーヒーは特にうまい」私は、笑みをたたえながら言いました。
京子が言いました。
「ショックじゃないの」
「悲しくないの?」
「死んじゃうんだよ!」
・・・・・
「大丈夫だよ、私は死にません。死は決して悲しむべき出来事ではありません。魂は不滅です」
(やっぱり、この人、頭が狂ってるかも)
家族
たまにはBGMを流そう
ドビッシーを聞いてみる
アラベスクから始まり「亜麻色の髪の乙女」
「月光の光」「夢」
子供の頃を思い出すなー
一生懸命ピアノで練習したものでした☆
ドビュッシーのメロディーは、美しい音色で、
そして重厚
低音の音の使い方とかとても好きです
「ベルガマスク組曲」も弾いたな-
そして音楽とともに、家の光景が思い出されて夜の星を見ると、お父さんは地球の神秘やこの世に
生まれてきたことがどれほど奇跡的なことなのか
この風景はどう変わっていくのか
いろいろなことを語って
広大な暗闇の中に ポツポツと光る星たちに照らされる二人
(お父さんと私)
なんとも幻想的で非現実的で
〈七夕に願うこと〉 平成28年7月7日 27歳 次女のブログより
時間が止まっているような、そのまま夜空に吸い込まされて
しまいそうな、不思議な感覚になったなあ
お父さんは、本当に優しくて、回りのことを思いやって、そして
父としていつも家族を守ってくれて
何より私の心に暖かいものをプレゼントしてくれた
私も自立するにつれて、自分の意志ができて、ぶつかることもあった
けれど
いろんなことを全部ひっくるめて
残ってくるのは、やっぱりお父さんの優しさと強さだなー
早くお父さんに元気になってほしいなー
明日の稽古も頑張ろう。
お父さん、67才のお誕生日おめでとうございます。
〈 祝 お誕生日おめでとう〉 (長女の祝電) 平成30年2月 33才
いくつになっても輝いていて、若々しい素敵なお父さん!
いつも全力で、いくつになってもパワー溢れるお父さん!
本当にすごいです。尊敬しています。
ただ、頑張りすぎて無理だけはしないでね。
お父さんの体だけが心配です。
充実した幸せいっぱいな日々でありますように。
そしてお母さんとこれからもラブラブでね-
またみんなで旅行にいきましょう!
すばらしい一年を・・・!
私には、妻、京子。そして二人の娘がいます。
死んでる暇はありません。
一番、やってはいけないことは家族を悲しませることです。これは、絶対にダメです!
現在93歳の母がいます。絶対に、母より早く死ぬわけにはいきません。
母は、100歳を突破するはずです(願い)。
もう、奇跡を起こすよりないのです。お父さんの実力をいまこそ、この世界に示す時が来ました。
お父さんは、ゾンビです、医学会の奇跡です。
その他の病歴
- ① 潰瘍性大腸炎(難病)。現在下血中。 しかし、薬は飲んでいません。無視。(理由*飲まなければいけない薬が余りに多すぎます)
- ② 糖尿病。入院中は、インシュリン。⇒退院時、拒否。現在薬のみ。
- ③ 血管年齢(CAVI動脈硬化検査 h29.5)は、90歳以上。先生曰く、もうこれ以上はありません。リミッター超えです。もう、笑うよりありません。
- ④ 高血圧高血圧、強い薬(アジルバ錠40mg・アムロジピン10mg)でコントール中。血圧は測
- りません。(昔は、必死に測って、ノートにつけていました)
- ⑤ 高脂血症。(薬服用)
- ⑥ 胃にポリープ。50個以上。5年以上未検査。はっきり言って心配です。
- ⑦ 前立腺肥大の手術(h28.3)。8日間入院。退院後、1カ月後に脳梗塞で倒れる。そし
- て、その1か月後、救急車で再入院。
- ⑧ 胆のうポリープ。3個。
- ⑨ ここ10年で、4回骨折。1回は重症。
- ⑩ 腎臓結石で、入院手術。(レーザー手術)
- ⑪ 背中の腫瘍摘出で、入院手術。
- ⑫ 尿路感染症で、入院。夜9時の急患で、炎症反応29。即入院。
- ⑬ 慢性腎炎で、今までに2回入院。(中学生時代)
しかし、実は、これ以上のひどい人は、世の中いくらでもいます。
はっきり言って、軽症です。どうということはありません。
問題は、これをどう受け止めるかです。悲観するか、絶望するか、運命を呪うか。
私は、病院は、100%「最高の学びの場」と思っています。
すばらしい出会いの場です。
大きなチャンスが待っています。
あり余る時間は、最高の、崇高なる、神への「瞑想」と「祈り」の場です。
たくさんのことを学びました。病院は、私にとって超、楽しい、ディズニーランドです。
ただし、絶対的な条件があります。肉体的な痛みです。これだけは耐えられません。絶対、嫌です!(手術は、だれでもそうでしょうですが、したくはありません)
『病気』は医師が治すのではありません。
あなた自身です。第二位も、あなたです。その次も、あなたです。
そして、第4位が、あなたを愛する人です。医師もここにいます。
しかし、実は『あなた』(①あなたの生命力・②あなたの自然治癒力・免疫力)も、正解ではありません。
本当の、真実の、究極の一位、それは何ですか。
それは、だれですか?
もうひとりのあなたです。
真実のあなた自身です。
それ以外に、解決できる人はいません。
人生を切り開くのはあなたです。
決断するのはあなたです。
悲しむのもあなたです。
辛いと感じるのもあなたです。
喜びで胸を熱くするのもあなたです。
満天の星を眺めて感動するのもあなたです。
あなたが、すべてです。
あなたがこの物語(全宇宙)の主人公です。
そして、すべての人々が、崇高なる糸(真実の愛)で、繋がっています。しかし、自己中(エゴ)は絶対に許されません。他者への愛です。見返りなき愛です。
私は、現在、24時間体制で、休むことなく、「瞑想」と「祈り」を繰り返しております。場所は問いません。
まさに、奇跡を起こすためです。
最近始めたわけではありません。13才頃から、ずっと、ずっと、です。理解してもらうのが難しいお話です。人には話せない〚最大の秘密〛です。
宗教ですか?
違います。1円の寄付も年会費もいりません、教祖なんておりません。偽りの神は、この世に必要ありません。仏像も社殿も教会もなにもかも、必要ありません。
人はそれを神といいます。あなた自身です。遠い宇宙の果てにいるわけではありません。まったく、気が付いていない、ただそれだけです。全宇宙のパワーをすでにあなたがもっているということです。
つまり、この最終章、『告白』は、それを証明すること。
すなわち、私が奇跡を起こせるかどうかです。
実は、奇跡はこの世には存在しません、これを『必然』と言います。しかし、見た目には『奇跡』に見えます。
倒れてから、1年9カ月。実は、私の奇跡は、もうすでに達成していると思っております。感謝です。ありがたいと思っております。
左脳がなくても、字が書けます。今回、一冊の本を出せそうです。引き算が出来なくても、囲碁が打てます。うるさいぐらいに喋れます。血流がなくてもカラオケが歌えます。頭脳は、超、明晰です。
よみがえれ頭脳
なんと、今回の脳梗塞の退院(h28.6.18)後の、4カ月後の平成28年10月には、葛飾区囲碁大会本因坊戦で優勝(通算5期)。
同12月には、千代田区名人戦準優勝、翌年の4月の囲碁名人戦東京都大会2日目の2回戦では、あこがれの囲碁界の重鎮、レジェンド菊池康郎先生8段(当時87歳)と対戦、負けましたが心底感動しました。
頭脳明晰でないと(よく言われる「頭がいい、悪い」とは全く別のお話だと思っております。誰でも、一生涯、一生懸命にやれば5段にはなれます)、碁は絶対に打てません。一局も勝てません。
囲碁こそ、史上最強のリハビリ(科学的にも証明されております)、崇高なるゲーム。一生をかけるに値するゲームだと思っています。そうでなければ、50年前にやめています。
また、私は自称パフォーマンス、ダンサーです。1秒間に4振りの高速ダンスが可能です。いわば、フィギアスケートの4回転ジャンプです。これは、一方の肉体的なリハビリです。
というわけで、寝ている余裕はありません。死んでる暇はありません。
ある意味では、超元気です。
でも、死にそうです。死は迫っています。
午後は、よく酸欠(血流不足)になります。脳が思考停止になります。すぐに200㏄の水を飲みます。常に限界との戦いです。(水は、1日2リットル、こまめに補給、水がすべてです)
でも、
『笑いヨガ』で、大宇宙を笑いとばしております。
落語にはまっています。
家で、落語の再現フィルムをしています。
ラゾーナ寄席で、初めて聞いた落語を約30分かけて再現しました。
京子が、すごい、すごい、と言って笑い転げています。
「病院で一番いやなことは何ですか?」
それは、『注射』です。
《現況》
今日現在、平成30年4月1日(退院後、1年と9カ月後)、私の体は、いったいどんな状況なのでしょうか。
血管がボロボロ、脳の危篤状態が依然として続いていると理解しています。
しかも、時間の経過(経年劣化)とともに動脈は間違いなく完全閉鎖の方向に向かっています。
その未来図は、ズバリ。
①即死
②植物人間
③重度の障害が残る。
それ以外には、考えられません。(3人の医師の共通見解)
しかし、別な盲点として、がん・心筋梗塞・その他の病気、不慮の事故、天変地異もひかえております。
残念ながら、肉体的な死は,誰でも100%おとずれます。
でも、私は、まったく心配しておりません。大丈夫です!まったく、問題ありません。
神さまには、不遜ですが、「どこからでも、いらっしゃい」の心境です。
左手に神の書、右手に医学書です。
パソコンの待ち受け画面は、なんと、私の脳の画像です。
パソコン入力されている画像は、100枚以上はあります。(平成17年~平成30年)
元気だった34才の時のMRIの画像フィルムもあります(比較ができます)。
朝は、このパソコン画面に向かって、
「まだ、死ぬわけにはいきません。もう少し時間をください」と守護霊にお礼とお祈りをささげております。
(入院中は、パソコンを持ち込んで、点滴に記載されているデータを入力。病院内の写真撮影(普通の人はやらないと思いますが)、絶対安静なのに、病室にいないで、談話室で瞑想と祈りです。3日目頃から、どんどん冴えわたり異常なる覚醒状態となる)
超、ポジティブのこころです。
不思議なことに、現在、頭痛、めまい、しびれ、視覚障害等は一切ありません。
後遺症は、高次脳障害ですが、
左脳の重大な役割は、①読み・書き・話す ②計算 ③論理的思考です。
左脳の血流が悪いので、相当の障害があっても不思議ではありませんが、今はなぜか超、冴えわたっております。
「死の直前にはだれでも、一時的に覚醒(かくせい)するらしいよ」
とか、
「残された人を悲しませてはいけません。身辺整理、断捨離をしてください」とか、まったく、その通りです。
おかげさまで、『戒名』(自己作成申告)をもらい、
生前葬(友人葬)をすませました。
(曹洞宗、総持寺。父の菩提寺のお墓の継承。魂活。人生の決着、ケジメ)
(この行為により、魂が、進化・向上するわけではありません)
究極の断捨離もしました(生前整理・段ボール20箱を処分)。
廃車。
保険代理店、廃業届。
私のりっぱな『遺影』もあります。
もう見飽きたのか京子が足で蹴飛ばしております。
とことん生き抜くだけです。
そして、今、パソコンの前に座って書いております。
私は、死にません。
魂は不滅です。
作画:篠原蓉雪
コメント