2019年11月15日、高輪サロンにてミニ講演をいたしました。議題は『環境問題』メインが『原発問題』です。そのときの原稿の一部です。
小泉純一郎元総理が、「原発ゼロ運動」を始めた理由 (大震災・原発事故からもうすぐ9年です)
3つの原発事故(メルトダウン)
- スリーマイル島(メルトダウン。1979年、アメリカ・ペンシルバニア州)
- チェルノブイリ(メルトダウン。1986年、旧ソ連)
- 福島原発(4基の内、3基が、メルトダウン、2011年3月11日)
大震災前までは、日本の原発は、多重防御で、チェルノブイリとは違う、絶対に安全である、メルトダウンなどありえないと(安全神話)。
小泉元総理の説く、3つのウソ。
- 安全性のウソ(極めて危険=安全神話の崩壊)
- コストのウソ(膨大な費用が掛かる)
- 「CO2をださない、永遠のクリーンエネルギー」のウソ
すべて、「人命より経営」、〈すべて利権〉
かつては、総理として推進派であった私は、真実を知った、「国民に本当に申し訳なかった」「私は無知だった」「自分を恥じた」と・・・
彼に、一体何があったのでしょうか。・・・(彼の講演は多数あり)
小泉元総理は、北欧フィンランドで「見てはいけないものを、見てしまった、オンカロ」(フィンランドは、人口550万、国土は日本の9割。北欧型福祉国家。原発の数は、4基です。森と湖の国です)
※日本は地震大国でありながら、54基あります。2019年10月26日現在、稼働しているのは、7基です(そして、定期検査で停止中は、2基)、すでに廃炉にしたのは、9基です。 【注 かつては、2基でも、電気は十二分に足りていた。なくても、いけるのでは!?・・・】
そもそも、電気を使いすぎです?(私見)
2013年、8月。彼がフィンランドで見たものは、国の総力を挙げて作った、4千2百億円もかけて、地下400m、全長は42キロの「オンカロ」(洞窟という意味)すなわち「核のゴミの最終埋葬所」。もう、地中深くに埋めるより仕方ないと・・・。
小泉氏は、チェルノブイリへも、視察で言っています。そして、2011年以後、原発に関して猛勉強したと述べています。
【著者も見た、フィンランドのドキュメンタリー映画「10万年後の安全」】
プルトニウムの半減期は、2万4千年、10万年経たないと、安全はこない。もし、何も知らない未来人が、1万年後、宝物か思って開けたら、それは恐ろしい「パンドラの箱」だった・・・。
すべての始まりは、人類がこの世にないものを作った?
- ウランは、天然に存在する中では、最も重い元素です。(ウラン238)
- ウランは、重金属、鉄や金よりはるかに重たい。(鉄は原子番号26、ウランは原子番号92です)⇒超重いということは「不安定」=放射能を出すということ。
- ウランの産出国は、上位3位が、カザフスタン・カナダ・オーストラリア。そしてその他の、自国でのウランの調達国は、まさに核保有国の7か国。ロシア・中国・米国・インド・パキスタン・ドイツ・フランス。そして、今問題となっているイランです。日本はなし。
- 濃縮ウランとは、「天然ウランは、ほとんどが、ウラン238ですが、その中の、原発や核兵器に使う「ウラン235」は、たった、0,7%しかありません。それを、3~4%に高めたのが、(低)濃縮ウランであり、原発の原料になります。さらに高めた90%以上の高濃縮ウランが、核兵器(原爆)に使えます」
- (濃縮ウランは、まさに人為的に科学の力で作ったもの。よく言えば、大発明。しかし、超、危険物)
⇒今、まさに、イランとトランプ大統領が争っている、「ウラン濃縮」問題。
⇒今、現在まさに、戦争への危険性。
6 しかし、この原発には、恐ろしい「核のゴミ」が出続けます。これを、どうするか。
青森県「六ケ所村」
(日本原燃株式会社、低レベル原子燃料サイクル施設。及びその他のエネルギー関連施設多数)
- 使用済み核燃料の再処理工場(1993年~)
核のゴミの中から「プルトニウム・239」を摘出しようということです。この物質こそ、この世に存在しない物質であり、ウランを超える、不安定な放射性物質であり、原発、更には、原爆よりさらに威力のある「プルトニウム爆弾」の原料になる。
劣化ウランを再処理して、1%の使えるウランと、1%のプルトニウムを取りだしている。現在、運転試験中。
- ウラン濃縮工場(1992年~)
原子力圧電所の燃料となる「濃縮ウランを遠心分離法で生産するもの。現在、停止中。
- 低レベル放射性廃棄物・埋設センター(1993年~)
- 高レベル放射性廃棄物・貯蔵管理センター(1995年~)
この六ケ所村では、巨額の補助金や原発マネーが村民の収入となり、約1万人の村民の平均所得は1367万といわれ(2012年)、最もめぐまれた村民といわれました。
実は、この施設は2兆2千億を費やし、現在もトラブル続きで運転できず、本体は、試運転中です。
そして、もう一つが、
福井県「もんじゅ」
核のゴミの再生利用、うまくいけば、核のゴミの「夢の解決」これぞ「文殊の智慧」だ。福井県敦賀市の「もんじゅ」(高速増殖炉)です。(1985年本体工事開始)しかし、1995年に完成し、一度稼働したが、3カ月で故障、それ以後、まったく解決できないまま、なんと約25年、費やしたお金は、累計1兆2千億。1日、5000万円を30年間、浪費し続けてきた。
そして、ついに、2016年、12月21日、「もんじゅ」の廃炉を、正式に決定した。廃炉作業中である。・・・が、しかし、廃炉はそう簡単なことではありません。廃炉費用3000億以上。30年計画。
《注 これまでにも、多くの事故の隠蔽(いんぺい)あり》
7 人類は、本当に「核のゴミ」を解決できるのでしょうか、依然として「トイレのないマンション」のままです・・・メルトダウンした福島原発は、アンダー・コントロールではありません。アウト・オブ・コントロールです。
まだまだ未熟な人類には、核(原爆・原発)の発見は早すぎた?「核は、悪魔のプレゼント?(私見)」
8 小泉元総理は、「自然エネルギー」(太陽。風力・水力・地熱等)で、十分やっていけると断言する。⇒(注※ 化石燃料とは、石油・石炭・天然ガスです)
残された課題、問題点
- では、すべて廃炉にした場合、残された「膨大な核のゴミ」はどうするのか?
- 日本では、核のゴミは、すでに「地層処理」(埋める)を決めているが(1976年)、どの県も名乗りを上げない。
- そもそも、フィンランドは、地盤が安定しているが、日本は、火山大国、地震大国、「地層処理」「埋める」にはむかない?かといって、他国が受け入れるはずもなし。
その他。最近の出来事。
松井大阪市長が、なんと「汚染水(現在、トリチウムだけが除去できず残されたまま)」の受け入れを表明する。安全性の保障が得られれば、大阪湾に流すと。
現在、高さ10mの汚染水タンク、997基。毎日出る、200トンの汚染水。もはや、海に流すよりないのか?
台風19号で、除染廃棄物(汚染土)、54袋流される。その4年前の、2015年の洪水でも、なんと448袋が流された。
あってはならないメルトダウンが起きてしまった。・・・
総括、人類は、この問題をどう解決するのでしょうか?
人類の叡智で、解決できるのでしょうか。
私見「核は、悪魔のプレゼント」です。
原発は、一刻も早く、全基、廃炉にすべきです。たとえ何兆円かかっても。
人類は、「核のゴミ」をまったく解決できていません。子供たちの未来に、恐ろしいパンドラ(負債)を残してはいけないと思います。
2019年 11月15日
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